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過去授与者
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Mr. Stuart Knighton-Callister

バーススパ大学、スクールオブアート&デザイン



Project: 現代抽象概念の運用戦略としての偶然性:その目的と過程、その意義

Mr Stuart Knighton-Callister


偶然性を基本とした現代抽象絵画の技法を継続適用することの妥当性を、20世紀芸術家の偶然性活用に照らしながら検証します。その結果を踏まえた一連の完成作品を通じて、この分野の作品に関して情報を基に確立した自説の概要を示します。絵画について考える際、「一連の意思決定と行動から生まれる視覚対象」というのが一つのとらえ方です。絵画の意味は、概念がどのように絵画戦略に反映され具現化されているかにより導かれます。20世紀の芸術に一貫する要素の一つが、作業戦略としての偶然性の活用であり、これは多くの現代画家の作品に顕著に見られます。20世紀初頭、ハンス・アルプ、マルセル・ドゥシャン、マックス・エルンスト等、急進派の先駆者であった芸術家数人が、絵画制作活動に偶然性を基本とした手法を取り入れました。その狙いは、美的判断という観念に対抗する、「機械的」プロセスを用いることでそうした「趣味に基づく」判断を回避する、幻想的形象の創造を促すのいずれかでした。本研究では、この分野の現在の制作活動を調査し、特に既・未出版の発言録と新たなインタビューを基に、芸術家が偶然性を基本とした手法を用いる意図を突き止め、それらを20世紀前半の主要な急進派画家の狙いと比較します。最終的な狙いは、この分野における現代手法の継続、すなわち偶然性を基本とした「伝統的」戦略を21世紀の絵画に引き続き適用することの妥当性の根拠を確立することです。スタジオでは、急進派画家が用いた技法と近年の画家が用いる技法をいくつか検証し、それらの手法や戦略が実際にどのように機能しているかの明確化と、それら作品の制作と解釈の関係の理解を目指します。これには、そうした戦略の結果の意味が一世紀を経ていかに変化してきたか、そうした技法の狙いが絵画を観る者にどのように伝わっているかの理解も含みます。この検証を基に、調査過程を通じて一連の作品を制作し、相当規模の絵画展の形で発表します。また、本研究の成果は、他者がこの分野の活動を理解し、各々の絵画手法を開発するための土台にもなるはずです。